生活living

ペットのいる暮らしと動物検疫


ペット業界は年々拡大しており、APPA(American Pet Products Association)の調べによると、各ペット市場の売り上げ推測は2021年度で約1096億ドルだという。

米国ペット市場売り上げ 2021年

  • Food 約441億ドル
  • Supplies/Live Animals / OTC Medicine 約234億ドル
  • Vet Care & Product Sale 約323億ドル
  • Other Pet Services (grooming, boarding etc.) 約97億ドル

資料:APPA(American Pet Products Association, Inc.)

飼う前に知っておくべきこと —心構え—

ペットを飼う前には、慎重な検討を行う必要がある。

犬や猫は10年から15年が平均寿命である。この15年の長い期間、家族の一員として共に生活するということ。吠えたり鳴いたり、排泄物で部屋を汚すこともあれば、病気をしたり、怪我をすることもある。また、高齢になればつきっきりで介護が必要になることもある。「可愛い」「癒される」「楽しい」などといったポジティブなことばかりではないということを念頭に置き、動物の命を預かるということの責任の重大さをもう一度考えてみよう。

また、犬や猫は爪や歯も鋭い動物である。動物は人間と遊んでいるつもりでも、爪で皮膚を傷つけたり、アクシデントで噛んでしまうこともある。

自分の飼っているペットだからそんなはずはないという考えは捨てて、いつ危険なことが起こるか分からないという意識を持つことが必要である。乳児や子供、他人などと接触する際は、アクシデントが起きないよう十分に気をつける必要がある。

また、誰が主に責任を持って世話をするか、家族で話し合いが必要である。日常生活の中でペットの食事や散歩、掃除などの仕事が増える。人間だけの生活にペットが振り回されたり、また逆にペット中心の生活にならないように、生活リズムの調整などが必要になってくる。

犬の場合は「しつけ」という大きな仕事がある。犬にとって一番のボスは誰なのか、または責任を持って世話する「Primary Caretaker」は誰なのかを決めておくと、犬のしつけもしやすくなる。

飼う前に知っておくべきこと
—ペットにかかるお金について—

フード、排泄用シートや砂、予防接種、各種病気の予防策などの定期的な出資のほか、初年度には首輪、リーシュ、トイレ、ケージ、フードや水の器など日用品や、マイクロチップの挿入、ライセンス登録、ワクチン接種などの費用がかかる。さらに、怪我や病気による手術、入院費など予想がつかない出費もあることを覚悟しておかなければならない。ペット保険を扱うASPCAの試算によると、犬猫の場合、初期投資で約500ドル、一年に約750〜1050ドルの費用がかかるという。ペットの世話にかかる時間と労力だけでなく、金銭的負担についてもよく検討する必要がある。

ペットを探す

里親探しの申し込みフォーム

【アドプション Adoption】

ペットの探し方でアメリカで最も一般的なのがアドプション(里親探し)。全米にはアニマルシェルターとレスキューグループを合わせて約1万4000の動物保護施設があり、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA:American Society for the Prevention of Cruelty to Animals)によれば、捨てられたり、虐待されたりした犬や猫が毎年約650万匹保護される。しかし、そのうちの約150万匹(犬67万+猫86万)が、飼い主がそのまま見つからず安楽死させられてしまっているという。

こうした動物たちに新しい家族と家を見つけるため、保護施設では里親探しを行っている。但し、誰もが里親になれるわけではなく、ある程度の「豊かで快適な生活」をペットに与えることができるかということが基準となっており、里親としての資格条件をクリアしなければならない。基本的にはアプリケーションフォームを提出して面接を行う。アドプションが成立したら、Adoption FeeやDOH dog licenseなど施設によって決められた費用を支払い、引き取ることができる。

大きなアドプションセンターや政府が運営している非営利団体が運営している小規模シェルターなど、形態や規模は様々。保護動物たちが新しい家族のもとで幸せに暮らせるよう、それぞれの施設がアドプションの規制を設け、管理を行っている。新型コロナの流行により施設を閉鎖し、リモート面接を行っているところもあるので、ウェブサイト等で事前に確認を。

アドプションを行っている主な団体

  • The Humane Society of the United States(HSUS)
    米国人道協会。米国で一番大きい動物愛護団体。
  • The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals (ASPCA) 
    アメリカ動物虐待防止協会。非営利団体でほとんどが寄付金で運営されている。

その他にもこれらの団体と繋がりが強い小さなレスキューグループによって運営されている施設が数多くあり、オンライン検索サイトを通して里親を募集している保護動物の情報を発信している。近隣にある施設を探すことができて、そこにいる動物たちの写真やプロフィールを閲覧できる。遠く離れた他州からの場合も、電話やオンラインでの面接、書類審査などのプロセスを経て、アドプションが可能な施設もある。めでたく里親になれた場合は、ペットは飛行機で運ばれ、空港での受け渡しになる。

アドプション・オンラインの検索ウェブサイト

◎ウェイティングリスト

特定の種類やサイズ、年齢など希望条件を指定登録して、希望に合った保護動物が来たら、知らせてくれるウェイティングリストを用意しているところもある。しかし、このサービスを受けるのにも厳しい審査がある。

【ペットショップでの購入】

ブリーダーやペットショップなどから導入する方法もあるが、ペットショップは近年、動物に無理な繁殖をさせる悪質な業者「パピーミル(Puppy Mill:子犬工場)」の問題があるため、ペットを購入する際は慎重にならなければならない。きちんとUSDA(United States Department of Agriculture:アメリカ農務省)の許可を受けた仕入れ先から来ているのかということを確認した上で買うこと。最近はUSDAの監査で認められたブリーダーからしか仕入れをしてはいけないという法律ができた州も増えているため、事前に調べておくと良い。

ペットが病気になった時は?

健康診断、予防接種などの定期的な受診のほか、下痢や嘔吐、感染症など、病院にかかる機会は意外と多い。検索サイトや紹介などで信頼できるドクターを探そう。また、夜間に何かあった場合に備え、夜間救急を受け付けている動物病院も見つけておくと安心。

動物病院を検索できるサイト
https://www.localvets.com

ペットが行方不明になったときは?

犬がいなくなったときはオンライン検索サイトで探すことができる。いなくなってしまった犬の写真をアップできたり、特徴、タグ、マイクロチップの番号でのサーチもできる。

避妊・去勢の必要性

動物保護団体のシェルターに入れられた動物(主に犬と猫)が、新しい飼い主に引き取られる確率は5匹に1匹と大変低い。これは単純に、シェルターから動物を引き取ろうとする人が、捨てられたペットの数に比べてあまりにも少ないためである。ペットの避妊・去勢の必要性が叫ばれる理由の一つは、自分のペットに子供を産ませる代わりに、既に生まれている保護動物たちの命を1匹でも救ってほしいという願いからだ。

例えば、自分のペットが産んだ子犬・子猫の引き取り手を見つけることができ、シェルターに送る必要がないとしても、間接的にシェルターの動物がだれかに引き取られる可能性を下げ、結果的には命を抹殺していることになる。

また、たとえ子供を産ませる計画を立てていなくても、ペットが迷子になった場合や飼い主が気付かないうちにペットが外に出てしまった場合などに妊娠する、あるいは妊娠させてしまう可能性を考えると、現代のペット余剰に対するペット・オーナーとしての責任は重大だ。

動物の健康面から考えてみても、メリットは大きい。乳腺腫瘍や子宮に膿がたまる子宮蓄膿症など、メス特有の病気は、避妊手術を受けることによって予防できる。発情前の早い時期に避妊手術を受けることで、発病の確率は大きく減る。メスと同じようにオスの場合も、睾丸の癌、前立線癌、ヘルニアなどオス特有の病気は去勢することによって防ぐことができる。

避妊・去勢の手術は獣医によって、麻酔(人間の手術に使用されるものと同じ薬品)を使って行われなければならない。低料金で去勢手術を行っているASPCAのような保護団体も各地域にある。

代表的な各州の保護団体

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