生活living

《CAREGIVING&NURSING》遠距離からでも無理のない介護


自分だけで抱え込まないために

 日本の鳥取県に本社をかまえながら、日本各地や海外にむけて介護を支援する団体「わたしの看護師さん」。介護と看護の両面からサポート、不安を取り除き、ケアする側の負担を軽減してくれる。「20代で叔母の介護をして苦労した経験を生かし、介護は一人で背負いこむものではないという思いから、この団体を立ち上げました。親と離れた場所に暮らして介護を行うのは、日本も海外もさほど変わらないのが現状です」そう話すのは、同団体の代表であり、遠距離介護支援協会の代表理事も務める神戸さん。特にコロナ禍以降は、日本国内であっても、親元へ帰省する際に時間やお金がかかり、海外駐在中も同様に制限されることも多い。つまり、親元から離れているの であれば国内も海外も同じということのようだ。日頃から気にかけておくべきことは、介護は突然必要になることがあるということ。それを、想定し備えておくことで、緊急の時に慌てず対処ができるのです」と神戸さんは言う。現役世代の人たちが、介護離職し、親孝行したいと思って介護をはじめるが、結局は親との関係性も悪くなり、自分もメンタルをやられてしまうそう。「望まない介護離職や無計画な介護休暇なんか取るべきではない」と神戸さんは話す。

看護士経験者という強みと安心感

介護に関しての相談窓口を設けているところは、制度については話してくれるけど、実際にすぐ動いてもらえるかというと、そういう所は少ない。「わたしの看護師さん」は、スタッフ全員が「医療資格」を保持している。看護師経験に基づいた見守りや、介護士、医師とスピーディーに連携がとれるのも医療資格保持者の利点だ。医療資格を持つ者だからこそ提供できるサービスがあるという。「病院の付き添いなら、圧倒的に看護師さんがいいんですよ。ドクターの言ってることをすぐ理解でき、出された薬が合わないということや、依頼主(親族)への報告書も実態や状況に沿って適切に記載ができます」。そう話す神戸さんも、元看護士で、ケアマネージャーの資格も持つ。「私の看護師さん」は、保険外サービスとなるため、介護保険を使えないが、その分、広い範囲でのケアに対応している。「私が代表を務めるていもう一つの『メディカルヘルパーステーション』という団体があり、そちらは介護保険適用内でサービスを受けられます。両方を併用してもいいと思いますが、介護系のヘルパーステーションというのは、エリアを特定し登録しないといけないので、保険適用内でサービスを探すと限定されてしまう可能性がありますけどね」。はじめは手の届く範囲ではじめたサポートも、気が付いたら、一緒にやりたいという人が集まり、チームができていったという。「看護師というのは、基本的に『誰かの役に立ちたい』と思っている人が多くて、そういう人たちに学びの場を作りましょうということで、介護する側のコミュニティや、教育の場として遠距離介護支援協会も立ち上げました」。そして、ちゃんとした医療の知識を持って、愛情あふれる看護師さんたちのサポートにより、利用者とスタッフの間には、家族のような信頼関係が生まれているようだ。

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神戸 貴子

神戸 貴子
所属
N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社
肩書
代表
URL
https://my-nurse.jp/

N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社代表
NPO法人ライセンスワーク代表理事
遠距離介護支援協会代表理事
鳥取県協働連携会議委員
鳥取県家庭あんしん支え愛条例検討委員 他
看護師、ケアマネージャー資格保有。
・平成26年「わたしの看護婦さん®」のサービスを開始。
・平成30年 介護保険外サービスのスペシャリスト養成機関として
「遠距離介護支援協会」を設立。