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《STEAK&BBQ》A5グレードの意味は「サシの美しさ」


赤身が強めの和牛や、異なる部位も広めたい

 和牛がアメリカでも簡単に手に入るようになり、米系レストランやスーパーでも「WAGYU」の文字を見かける機会も増えた。

 「コスコ(COSTCO)などでも和牛が購入できますが、そのクオリティは非常に高いです。それも、大手貿易会社が日本から輸入してきた和牛を各所に流通しているからであり、その品質に大きな違いが出にくいというのが実情です。また、大手スーパーやレストランで取り扱うには厳正な審査をパスすることが求められますので、しっかり管理された高品質な肉だと言えるでしょう」。

 しかし、和牛を次のステージに上げるには、正しい知識を与え、付加価値をつけて広めていく努力が必要だと酒井さんは考える。

 「米国市場では、ステーキと言えばストリップロイン、リブアイ、テンダーロインといったロイン系のお肉ばかりに注目が集まりますが、和牛の他の部位も売っていきたいというのが、日本側や我々の本音です。この非ロイン系の和牛をいかに市場に送り込めるか───これが我々トモエ・フード・サービシーズの挑戦だと考えています。具体的には、加工場でロースではない部位をステーキカットにして小さめのポーションに分けて綺麗なパッケージに入れて販売するなどの方法で、値段を抑えて和牛を楽しむ裾野を広げていきたいと考えています。和牛への注目度は急速に高まっていますし、買ってグリルに乗せるだけの手軽さが認知されれば、必ず売れると感じています」。

 トモエフーズでは、北海道、岩手、青森、栃木、千葉、広島などの他、飛騨牛や尾崎牛といった日本全国各地の和牛を仕入れている。「グレードという言葉でA5和牛のみが持ち上げられていますが、もちろん好みにもよりますが、本当に美味しい和牛は、赤身が程よい鹿児島牛や赤城和牛といったグレードの低いA3やA4グレードの和牛だと思います。グレードというのは、あくまでもサシの入り具合や見た目の美しさで決められた順位であり、味とは関係がありません。それでも現在の市場が求めているのはA5和牛ということに変わりはありませんので、まずはA5和牛から親しんで頂き、それ以外の低いグレードの本当の良さに気づいてもらう。まだそのフェーズには至っていないものの、アメリカ国民はお肉が好きな人が多いので、その良さを知る日もそう遠くないのではないかと思っています」。

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《監修》 酒井 純平

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所属
トモエ・フード・サービシーズ
肩書
営業
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